イノベーションサイクルの「速さ」がもたらすもの | Isratech / イスラテック

イスラエルのイノベーションサイクルの「速さ」がもたらすもの



●イスラエルのイノベーションサイクルの「速さ」がもたらすもの

中東のシリコンバレーイスラエルの特筆すべき特徴は、「イノベーションサイクルの速さ」である。年間 800 – 1000 社のスタートアップが生まれ、約 100 社のイグジットが起こる。
一定数のイグジットが起こり続けるため、スタートアップへ投資した投資家へ資金が還流し、起業家が新たにスタートアップを作る際に、資金が供給されやすくなります。新しいスタートアップが起こり続けています。次々にスタートアップが生まれ、その中の一定数がイグジットするという流れができているので、いい循環は年月を経ることに加速します。多産多死という「好循環」を生み出し、イノベーションサイクルそのものを速めてくれます。イスラエル人は、アイデアに着手するまでの「速さ」、失敗を見極めるまでの「速さ」、会社を廃業する撤退の「速さ」、どの段階においてもスピードを重視します。変化が激しい時代においては、やってみないとわからないことが多い。確実な的(まと)に向けて大きな玉をなげるのではなく、不確実でも、小さな玉を速くたくさん投げることで、どれかがあたればというような心持ちが大切である。

やってみなとわからないことと言えば、イスラエルの半導体であろう。イスラエルが、半導体業界において、重要な役割を果たしているが、イスラエルに半導体の製造工場が密集しているわけではない。イスラエルにある半導体企業は、ファブレスで半導体の設計図製作だけを行う企業が多い。半導体は、実装する段階では、時間軸や耐久性を検証する必要があり、設計図通りにいかない場合ももちろんある。イスラエルはそういった実装工程を、すべて自社で抱え込まずに、台湾のファブをうまく活用する。ビジネスモデルとしては、高付加価値のパートのみを行い、製造工程の理論的な蓄積だけではなく、実装的なデータの蓄積も自社内でとりこむことによって、高い利益率と高付加価値の創出を実現している。

イスラエルの場合は、速いだけではない。イスラエルの日本でいう東京工業大学にあたるテクニオン大学の TLO のライセンス収入は、日本の主要大学合計の TLO のライセンス収入より多い事実をご存じだろうか。テクニオン大学の TLO の収入は、2011年~ 2018 年で平均して 2000 – 3000 万$(約 20 – 30 億円)の収入であり、2018 年度の東京大学、11 億円、京都大学 8 億円という実態であり、二つの大学を合わせて、ようやく同等レベルとなる。
参照:産学連携による大学特許収入 (平成3 0 年度)

なぜ、ここまでの差を生んでしまうのか。TLO のマネジメントの差が大きい。先に記した速さに加え、技術そのものではなく、技術を中心に据えた収益化できるビジネスモデルを構築できているほ目線を考え、より商用化を意識した知的財産の保護、ビジネス化のスキームが出来上がっている面はある。ただ、そういうことは差し置いても、やはり、日本は技術→イノベーション化→ビジネス化」がイスラエル程機能していないとみる見方が自然かもしれない。イスラエルは大学においても「好循環」を生み出している。

「好循環」は、次のイノベーションの投資に回る。大学が次の研究に当てる費用になる。世界各国から最前線の先生を呼ぶこともできれば、結果として、世界各国から才能集める学生を集めることにもつながる。ここでも「好循環」であり、しかも次のチャレンジに早く着手できることになる。イノベーションサイクルを描いた通りに実行してきたことが、速さを実現できることにもつながり、ますます良いサイクルに入る構図が出来上がっています。

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