イスラエルのスタートアップ技術を見る際の視点
- 2021年01月11日
- SaratUpHimitsuExe
●イスラエルのスタートアップ技術を見る際の視点
私たちは、日々数多のスタートアップの情報に触れます。その中で、「そのスタートアップがベストか?」を知りたいですが、中々、一筋縄ではいきません。その際、本質的にスタートアップの情報をどう精査させるか、著者なりの 3 つの視点をお伝えします。
1 つ目は、「技術の変遷」で捉えることです。私が知る限り、AI 一つ取っても、一過性のトレンドに乗っただけの企業もあるため、創業者の背景や技術の中身をしっかりとみなければ、良質なスタートアップを見極めることは難しくなります。たとえば、同じ AI 「 グリッド → クラウド → ビッグデータ → AI」と系譜があり、時間の経過を経てきたか否かなどスタートアップを多面的に捉えることです。また、経営陣の質(≒経験値)や、どういう特許を持っているかなども、その拠り所です。日本企業は、よく日本に売り込みに来ている企業とビジネスを目論みますが、現地では、「投資家をまわっても投資を得られていない案件であるのか」「日本展開を純粋に考えているのか」を冷静に見極めてほしいです。
2 つ目は、エコシステムの中で「初めて登場する」スタートアップで業界の「兆し」を捉えることです。これは、定点観測をしていないと掴みにくいです。たとえば、量子コンピューティング自体は、2000 年代から、盛んにその可能性が言われてきました。そうした時代がしばらく続いている中で、2018 年ごろにスタートアップが 1 つ 2 つ(Quantum Machine など)と登場してきました。これは明らかにこれまでは起こらなかった事実であり、変化の「兆し」と捉えることができます。また、量子コンピューティングの会社が、1 社だけ出てきたのか、複数で出てきたのかも変化を見る時のポイントでしょう。
3 つ目は、「読みにくい技術トレンドの盛衰をどう読むか」です。前出の二つとは違い、難易度が高くなります。ブロックチェーンは、変化する「速度」を読みづらいテーマの1つにあります。「ブロックチェーンは、いつから自分の業界に、影響を与えるのか」「AI などとのつながりはどの程度重要になってくるのか」こうしたことは、定性的な情報があふれている中で、判断が難しくなります。要因の 1 つは、技術自体を正確に理解すれば、判断できる物ではないからです。
著者はどうするかというと、1 つの方法は、該当する領域のスタートアップの「創業数」「廃業数」で捉えます。これまでどういう企業が生まれ、廃業し、今どういう状態なのか定量データをため込みます、それを基に判断でします。
定性データもメディアだけの情報に偏らず、グローバル企業が何に関心を持っているかの水面下の情報(これは、現地にいないとわからないことが多い)で、現地に一回行ったぐらいでは、なかなかつかみにくい情報を拠り所にします。2015 – 6 年頃、その年にできたスタートアップが 50 社以上、ブロックチェーン関連企業は存在していました。ただ、翌年以降バタバタと潰れて、ブーム自体は去っています。