スタートアップは、日本企業の価値連鎖は把握していない
- 2021年02月8日
- SaratUpHimitsuExe
●スタートアップは、アプローチする側のニーズ、価値連鎖は把握していない
たとえば、あるエレクトロニクス企業の製造工程で、特定技術(純度の高い水を使う技術を必要とします。水関係のスタートアップでは、それの技術を日本企業が欲しているということはわかりえないでしょう。こういうことは、他の業界でも起こりえます。イスラエルに自動車工場はありません。100 %を輸入に頼っています。「自動車自体をどういうプロセスで製造されていくか」「そこにどういう技術が必要か」知る術がありません。ニーズを持つ側は、シーズへ 1 つ 1 つアクセスし、判断していくほかないということにもつながっています。ニーズ側が社外へ、社内ニーズを共有できない場合なども、自社のリソースで行う必要があります。イノベーションへのアクセス自体は、3 ステップあるうちの 1 つでしかありません。2 と 3 ステップ目に、比重を重くした方がいいですが、価値の源泉は、あくまで、1 に依存してきます。1 の付加価値が、2 、3 に大きく作用します。この案配が難しいところです。結局どうすれば、一番速く目的を達成できるかです。予算をみつつ、時間を見て決めてほしいです。そのためには、イノベーションへのアクセスを限られた予算で、できるだけ多くの引き出しを集められる体制にしておくためのベストな方法は独自性を持つことをお勧めします。第六章で解説します。
イノベーションのアクセスへ速度が重要とわかっていても、社内に全くその領域の知見のノウハウがない場合は、「厚み」がどうしても出せません。その場合は、外部を使った方が圧倒的に速いです。社内で、1 年以上かかることは、外部に頼めば、1 か月で終わります。10 倍以上速いです。社内で蓄積したいことと、達成したい成果を基に決めるのが良いでしょう。イノベーションへのアクセスは、安易に検索などに頼りがちで、企業データベースなどに頼りやすいです。データベース自体は、自社のニーズを把握して作られているわけではありませんので、結局は、1 社 1 社見ていくことが一番の近道です。
私の友人で広告会社に勤めていた T 氏の事例をお話しましょう。いざイスラエルのスタートアップとビジネスしようと思ったとき、彼は、自分の業界が公開されているカオスマップに掲載されているスタートアップ全てに電話をかけていくことが一番いい企業を探す「速い」方法と言っていました。結局アクセスして話を聞かないと何ら判別できないといっていました。イノベーションのアクセスは、スタートアップへの「面」でのアクセスを確保しておくことです。1 社 1 社「点」で見つつも、一定数見ること、領域毎みる「面」でみることこそ必要となってきます。たとえば、一定数の面を確保しようと、ファイナンシャルリターンだけに重きに置いているベンチャーキャピタルへの出資において、確保しようとしますが、どうしてもカバーしきれません。1 つの引き出しでしかありません。全く知らない人にとって価値がある幅広の情報に見えても、知っている人からすれば、断片的な情報ということがあります。