Discretix 社について②
- 2010年04月10日
- Interview
加藤:例えば、御社と同等レベルの技術を持った日本のメーカが、戦略を真似て、実質 Intel 社のチップへ入れることは、ものすごく大変じゃないですか?
春田:日本の会社が勿体ないのは、多分、日本の作り手となるメーカで大規模な R&D のチームを持っている会社であれば、 Discretix 社と同等かそれ以上の技術を持っているので、同等に優れているものは作れると思います。
ただ、それを自社の製品、自社メーカのチップやデバイスにしか使っていない。チップのコアの Intellectual Property ( 知的財産 ) 自体は、他社へ売らない。
加藤:日本のメーカさんは、その辺が探り合いになってしまうので、ガチガチですよね。
春田:そうですね。
そこを、Discretix 社は、Intellectual Property ( 知的財産 ) をパッケージ化して、自社ではデバイスとかチップを持っていないので、ビッグネームのところへこっそり入る戦略ですね。
加藤:入るしかない…。
春田:いかに、メジャーでドミナントなチップや、デバイスのインフラ部分へ入り込むか。
ということもあり、カスタマイズであまりビジネスが広がらなければ、それは Discretix 社として魅力的ではないので、小さいビジネスは、戦略としてしない。
単体で、プロフィット(= 収益 ) がでるかどうか、ドライな判断をします。それに比べて、プラットフォーム的なものであれば、アプリケーションプロセッサー、ベースバンドのプロセッサー、フラッシュメモリーのコントローラに特化して バルク的に入れていく。
Intel 社とか、ルネサステクノロジ社、はもちろん、携帯でメジャーなクアルコム社やTI 社へは、まだ、入れていません。ただ、今後入ってくるような方向ではあります。
メジャーブランドのへいかに食い込んでいくか。そういった会社の独自ノウハウがあって自社設計していた部分に、いわゆる、NIH(Not Invent Here)、自社開発している部分へ食い込むか。
ただ、自社内開発は、日本メーカだけでなく、海外の端末メーカでも、自社でやってしまうというのが結構強いですね。そこへいかに食い込むか、切り崩すかが、Discretix 社のチャレンジというか、ビジネスそのものです。
2010 年、2011 年あたりには、具体的な会社名は出せないですが、ビッグカスタマーにも、Discretix 社の要素技術が入ってくる方向で話が進んでいます。