Discretix 社について③
- 2010年04月10日
- Interview
加藤:少し将来のお話をお聞かせ願えますか?
春田:例えば、10 年後、世の中で使われている半導体自体の技術が、今とは全く違う技術に置き換わっているかもしれませんからね。そうすると、Discretix 社が持っている技術は当然変わっていないといけない。そもそも、ビジネスが、成り立っているのか? がありますからね。
量子暗号が実用化されたら、既存の暗号は…、なんてことない話になるので、それに合わせて、Discretix 社も光通信に基づいた暗号技術の会社にならないといけない。(笑)量子コンピュータとか DNA コンピュータとか、現在と全く違うパラダイムであれば、ノイマン型の計算機でやっている暗号エンジンは役に立たなくなりますしね。
加藤:そうですよね、チップ自体も不要になり、アプリケーション、OS、ハードウェアの垂直統合は全ていらないという話になる。
春田:そうすれば、10 年後違う世界になってしまいますからね。
加藤:その辺、Discretix 社の今やっているビジネスだと、コアに近い領域にいるので、ある程度動き察知できそうな気はします。ただ、180 度ひっくり返るパラダイムシフトで、ステルス的に全く現在の主流から外れたところからだと厳しいでしょうね。
加藤:Discretix 社の場合は、メディアへの露出は少ないですよね?
春田:ほとんどないですね。
Discretix 社の場合、技術特性上、ある程度ターゲットは決まっていますからね。今までは、モバイル・フラッシュメモリーという領域に特化していました。現在、組み込み機器一般という所に広げていますし、今後は、自動車とか家電や、電子ブック、ポータブルメディアプレーヤー、タブレット PC に代表される新しいデバイスとかですかね。
加藤:TV に代表されるようにモニターがある家電は近い将来、ネット接続になってきますからね。
春田:そうですね、個人情報の観点からも、認証にしろ、暗号にしろ、セキュリティは必要。いかに、日本で広げられるのか、というのが、私と小池とのミッションでもありますからね。
加藤:今はお二人ですか?
春田:期待値としては、 Discretix 社の社長( Gal Salomon 氏)も、もっと日本の組織も大きくしたい、と言っているのですが、そこまで出来ていないですね。
加藤:二人だと、ほぼ全てやらないといけない…。
春田:そうですね。新しいマーケットはどこかという点と、当然、ある程度のボリューム・マーケットの特性も含めて、新しい顧客へ興味を持ってもらえるか、ですからね。小さいスタートアップだから、面白いですけど、あとは、こういうスタイルが好きかは、個人差でしょうね。
加藤:イスラエルの会社に勤めている方は、相当タフだというイメージなのですが…。
春田:開き直らないとやっていられない。(笑)
細かいこと気にしても、ジャパンスタンダードとか、いわゆる外資系とかを想像してもしょうがない。「イスラエルはこうだから」って割り切って、「郷に入っては郷に従え」じゃないですけど、ある程度やり方を受け入れる。とはいっても、もちろん日本のお客さんと接するときは、日本の言い分、文化、考え方もあるので、それをフィードバックしなければいけない立場にありますからね。