注目のイスラエル企業④ | Isratech / イスラテック

注目のイスラエル企業④



加藤 : 最近注目しているイスラエルの会社はどこかございますか?

辻 : 現在、何社かのイスラエルの企業とおつき合いはしていますけども、圧倒的にイノベーティブな技術がありますよ。ネクセンスという会社はご存知ですか?

極めて、精細に測定する技術を保有しています。

スリープ・アプニア・シンドローム(=SAS睡眠時無呼吸症候群)ってありますよね。サイレントキラーとして、欧米では問題になっています。同社はこの症状を治療する仕組みを開発しています。私も米国の某大手の企業の幹部と一緒に見に行きましたけど、このネクセンスのセンサーは本当に、イノベーティブな魔法のような技術です。ただ、、仕事の進め方がかなり変わっていて、恐らく成功しないでしょうね…。

理由としては、経営者が、メディカル、エレクトロニクス、物理もわかる、いわゆる天才肌の方ですが、経営感覚が我々とはかなりかけ離れており、結局、うまくいかない気がしています。それにしてもユニークな素晴らしい技術です。

この会社は、現在スノーリングケアー(=SnoringCare( 鼾(いびき)を軽減する装置 ))を商品化しています。腕時計のような専用の装置を手首につけて、小さなバイブレーターが入っています。ベッドの下に薄いセンサーマットを置いておき、マットレスが相当厚くても、寝ている時の脈拍、呼吸の時のわずかな振動、鼾の時の振動をそのマットを通じて検知するのです。

加藤 : そこまでわかると、気持ち悪いですね。

辻 : 当然、無呼吸の時の振動、鼾の時の振動もわかるわけで、それを、手首の装置へフィードバックして、わずかな振動を起こします。若いころ合宿など行った時、隣の人間の鼾がうるさい時、トントントンって叩くと、スッとおとなしくなったりしますよね?

加藤 : なります、なります、私の父親もそうです。

辻 : それと同じように、装置で微妙な振動を起こして、若干の覚醒を起こして気道を確保する仕組みのようです。このセンサーは、実に精細でして、本当にあらゆる振動を捉えます。実際私も、やりましたけど、ベッドに腰かけた瞬間に、呼吸と脈拍の波形がオシロスコープ上に、瞬時に現われるぐらい、感度・精度の高いセンサーでIPはその会社が全てを持っています。

そのIPを活用しセンサーモジュールとして販売する方向で、日本の半導体メーカー等と連携・商品化すれば、爆発的に売れると思うのですけど…。ただ、同社の経営者は、違う意見であり、600ドル程度でその鼾軽減装置を細々と独自に販売しています。

私たちも、投資して、マネジメントを変えて立て直そうとしましたけど、うまくいきませんでした。それとこのセンシング技術は、SASのほかに、SIDS(Sudden Infant Death Syndrome =乳幼児突然死症候群)と言われる、乳幼児が睡眠時に呼吸が止まり、眠り続けるがごとく死に至ってしまう病気にも有効です。たとえば、この場合、ネクセンス社のセンサーマットを一枚敷いておき、呼吸が止まった瞬間、アラームを鳴らす仕組みしておけば、多くの命を救えますよね。極めて応用範囲の広い技術ですが、SAS専用の装置を開発して…、という事になってしまっている。

この技術、どのぐらい敏感かというと、このテーブル(=日商エレクトロニクスのインタビューをさせていただいた部屋の一片1.5 メートル程度のテーブル)の角にセンサーを置いて、対極でテーブルの表面をこする時の振動も認識できるぐらいのセンシング技術です。詳しい仕組みはわからないんですけど…。

自動車の座席の下に入れて、居眠り防止の技術として活用できると思い、自動車メーカーへ持って行きました。ただ、『その技術は素晴らしい。サンプルを入手し、評価したい。』と言って下さるのですが、ネクセンス社はサンプルを出さない…。(笑)

加藤 : その段階で止まるわけですね…。

辻 : ネクセンス社は、まず、『何万ドルもする評価キットを買ってくれ…。電話でのサポートも1時間=1,000ドルというのも、絶対譲りません。』みたいな事を言うから…。

加藤 : 尻込みしちゃいますね。

辻 : 日本のメーカーは、ありとあらゆる要素技術を研究していて、海外からの同様の技術があれば、比較検討したいから、『評価できるものを下さい。』という事になるのだと推測しています。ただ、評価したい相手から、そう言われてしまうとね…。実に残念ですよね。

加藤 : 3D技術のYAPPA の伊藤様も、いい技術だと思ったら買収される戦略を早くに取られた方です。その後、イスラエル現地でR&D機能としては残し開発を続けていますからね。こういったモデルが、日本とイスラエルがうまく共存していく道としてあると思っています。

辻 : それは、正攻法でしょうね。

なぜ、買収してしまうかというと、経営権をとって、自社のマーケティングをやらないといけないから、買収という選択肢になる。R&Dとして、置いておくことが、日本にとっては、そういう方法は同感ですね。

メーカーでない商社系の会社がやろうとすると苦戦しますよ。

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