[スタートアップ紹介Vol.35]Quantum Machine

量子コンピューターの未来は、明るい。しかし量子コンピューターを使いこなすためには課題も多く、解決する方法を多くのスタートアップが取り組んでいる。

イスラテックインターンが、今回は量子コンピューターの課題の一つである量子ビットの制御をするための機器を開発している「 Quantum Machine 」について、代表加藤に伺います。

Quantum Machine とはそもそも、どんな会社でしょうか？

同社では、 Quantum Orchestration Platform という、量子システムを制御するための完全なハードウェアおよびソフトウェアソリューションを開発しています。

同社は独自のカスタムパルスプロセッサを構築し、それが相互作用する量子プロセッサから独立しながら、マルチキュービット操作を処理できます。

実務的なところはこの辺りですが、量子コンピュータ自体の可能性は、ずいぶん昔から言われてきました。私が 10 年以上、イスラエルのスタートアップを見てきて、現地でも初めて出てきた量子コンピュータ関連のスタートアップと言えます。

なるほど、長年の経験から見ての観点なのですね。ところで、量子コンピューターについてもう少し教えてください。

私は量子コンピューティングや、数学理論、物理学の専門家ではないので、一般的なことに限られます。

世界の研究者たちなどによって、量子コンピューティングは数十年にわたって開発されてきましたが、ここ数年の間に、業界は学術研究によって推進された大きな進歩を見てきました。量子コンピューティングは、複雑な問題の計算時間を大幅に削減する可能性があります。

その一つの要素は、大手ＩＴ系のグローバル企業がこぞってこの領域に参入してきていることからも、ようやくその実現を考えられる、すなわち、ビジネスを考えられるレベルになってきたかもしれません。潮目が変わってきているのは事実でしょう。

お話を戻しましょう、そもそもQuantum Orchestration Platform　とはどのようなものでしょうか？

Quantum Orchestration Platformは最も複雑な量子アルゴリズムと実験を実行し、量子コンピューティングの世界を前進させるための包括的なプラットフォームです。

Quantum Orchestration Platform　の中核には、非常に有能な OPX があります。

これは、量子コンピューターのためにゼロから開発され、複雑さ、タイミング、精度、超低遅延など、量子制御プロトコルの非常に厳しい要件を満たすように設計されたハードウェアシステムです。複数の OPX を統合して、大規模な量子プロセッサの制御と操作を行うことができます。

QOP を使用すると、同じサーバーから操作される複数の OPX を、同じハードウェア内にあるかのようにシームレスにプログラムでき、追加の作業は必要ありません。

つまり、量子コンピューティングをあまり意識せずに使うことができるようになるということでしょうか。

QOP と似たような機能を持った機器を開発しているスタートアップはあるのでしょうか？

イスラエルの会社ではありませんが、Beit.techは、量子コンピュータを効果的に使用して、関連する全ての NP 完全なクラスの問題を解決するアルゴリズムを設計および実装するテクノロジーを開発し、量子コンピューターを制御することを目指しています。

※ NP…複雑性クラスのひとつで、Non-deterministic Polynomial time（非決定性多項式時間）の略

今後も複雑な量子コンピュータを制御する技術を持つスタートアップに注目が必要ですね。様々なスタートアップについて今後も教えてください。
ありがとうございました。

※イスラエルでは、こうしたスタートアップが 6000 社以上存在するといわれております。
弊社では、こうした企業の調査、目利きを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。