[スタートアップ紹介Vol.51]NanoxVision
イスラテックインターンが、レントゲン系テクノロジーであり、放射線リスクも少ない安価で画期的な技術を開発している。「 Nanox Vision 」について、代表加藤に伺います。
Nanox Vision とは、そもそもどんな会社でしょうか?
Nanox Vision は、医療画像用のデジタル X 線源を開発しています。この技術はこれまでの X 線照射方法とは異なる為、放射線被曝を減少させることができるだけでなく、小型化しているため、コストの大幅な削減が期待されています。そのため、手頃な価格でのサービス提供を図ることができ、貧しい国や世界中で医療を満足に受けることができない人々に対しても未病や早期発見に役立つことできると考えられます。
放射線被爆が減ることはとても素晴らしいですね。どのように、安全かつ安価な機器の作成に成功したのでしょうか?
独自のシリコン MEM 半導体技術に基づいたデジタル X 線技術を開発しました。1 億のモリブデン( 元子番号 42 )ナノコーンの電界放出アレイに基づく新しい「電子銃」を構築したことで、低電圧を使用して制御された安定した電子の生成が可能になりました。これは従来の X 線源と同じ効果のあるにも関わらず、機器自体を小型化できることが大きな特徴です。
なるほど。小型で少スペースであるが故にコストを抑えた導入ができるということですね。さらにこれだけではなく AI 診断ができる技術も開発しているということですが、そちらについても伺っていいですか?
そうですね、同社は、早期検出サービスのアクセシビリティと価格改善のために、医療画像サービスの提供範囲を拡大するよう取り組んでいます。その中で、Nanox.CLOUDと呼ばれるサービスは、画像リポジトリ、放射線科医のマッチング、オンラインとオフラインの診断レビューと注釈、診断支援 AI システムへの接続、レポートなどのサービスを含む、エンドツーエンドの医療画像サービスを提供するために設計されています。
このような AI 技術を統合することで、診断結果のターンアラウンドタイム(所要時間)を短縮し、診断の精度を高め、放射線科医が行う膨大なスクリーニングの支援も実施しているんですよ。
AI を導入することで精度も高められる上に、放射線科医の膨大な業務量の中でミスジャッジができないプレッシャーの軽減にも繋がっていますね。
日本の放射線科医の負担も減ると良いのですが、同社のプレスニュースでは、台湾、シンガポール、ロシア等に設置や契約予定となっています。日本への導入予定はありますか?
日本とのコラボ企業ということで日本の方も参画しておりますが、日本独自でこういった技術が開発されてない背景や、イスラエルとの違いなどを教えていただけますでしょうか?
そうですね、同社は、2012 年にソニーのナノテクノロジーエンジニアリングチームと共同で技術の開発を開始し(たとされ)、上記テクノロジーの開発に成功しました。日本にある研究所と工場においては、日本人が持つ時間厳守能力と技術的品質の向上を提供することで製品品質の向上が図られ、また、イスラエルのソフトウェアおよびシステムエンジニアは、イスラエル人が持つ即興と創造性を提供することで、これまでになかった技術の開発に寄与しています。
みなさんがご存知の通り、日本は技術を高品質にすることに長けてますが、創造性や技術開発においてはイスラエルが優れていると感じます。そのため、双方の強みを活かしたことによって同社の技術が革新的に成長できたのだと思います。
確かに創造性やソフトウエア開発は弱い印象がありますね。日本人の参画者もおり研究所もあることは非常に誇らしいことですし、これだけの小型化と、優れたソリューションは日本の狭小な環境に間違いなくマッチすると思いますので、日本でも拡がって活用されていくことを期待しています。
本日は、ありがとうございました。
※イスラエルでは、こうしたスタートアップが 6000 社以上存在するといわれております。
弊社では、こうした企業の調査、目利きを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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