[スタートアップ紹介Vol.26]Lemonade | Isratech / イスラテック

[スタートアップ紹介Vol.26]Lemonade



日本における損害保険や生命保険などは、基本的なシステムはどこも同じである。顧客が選ぶ基準は、金額と自分に合った保険かどうかのみであろう。その中に利便性やスピード感は求めない。実際になにか起きたときに初めてその重要性に気がつくが、ほとんどの場合はそこまで思考が回らず何となく保険を決めていると思う。保険会社もまた、いかに安く必要な部分をカバー出来るかをアピールしている。

https://www.lemonade.com/

AI を用いたアプリを使用し、ユーザーとのやり取りで保険を支払うシステムを構築した保険会社である。
Lemonade について伺ってみた。

Lemonade とは、そもそもどんな会社でしょうか?

Lemonade は、AI を活用したボットを使用して、賃借人と住宅所有者の保険購入体験(プロセス)をデジタル化しています。ユーザーは、アプリをダウンロードしていくつかの質問に答えるだけで、見積もりを入手できます。見積もりは月額 5 ドルから始まりますが、所有する個人財産などのさまざまな要因に基づいて変動します。

通常の対面でのヒアリングや紙での調査を行わずに購入までを行っています。そのプロセスのデジタル化を試みている点です。

主にこれまでのサービスと比較してどこが優れているのですか?

同社は製品に直接ギブバックシステムを統合することにより、従来の保険プロバイダーとの差別化を図っています。つまり、ユーザーの毎月の支払いの一部を収益として受け取り、さらに一部を保険金の支払いのために取っておきます。そして、残りをユーザーが選択した慈善団体に寄付するのがギブバックシステムです。

寄付までできる保険というのは珍しいですね!
AI がどのように判断して保険の支払いまで行うのですか?

AI と 行動経済学を活用して保険プロセス自体をデジタル化して、そのプロセス自体を AI で処理できるようにしています。ブローカーをボットと機械学習に置き換え、従来のキャリアよりもはるかに多くのデータを収集して予測データを生成し、事務処理を排除することで、顧客のプロセスを高速化しています。

それにより、損害状況などの取得データから AI が既存データを元に保険金を算出しユーザーに対して支払いが行われます。

私は便利と感じる反面、人が対応してくれた方が安心感があるように感じますがそれは日本的な考え方なのですかね。
保険金詐欺などもある中でどのようにそれを AI が見極めるのかには非常に興味がありますが、どのようなシステムなのですか?

AI を活用することで、これまでの保険料のプロセスが大幅に改善され、保険料の正確性が向上し、迅速なペーパーレスプロセスにより支払い精度が向上します。たとえば、保険金詐欺のようなことも、最初は難しいでしょうが、そのような傾向のプロセスの分析をためていくことで、詐欺を減らすことに繋がっていくでしょう。デジタル化上では、サイバーアタックなどと同様にで、その兆候や特徴があるでしょう。

請求コストが削減されるため、保険のプロセスが大幅に改善されます。保険証券を発行する際、ビッグデータを使用してリスクを予測し、顧客をリスクグループに入れて関連する保険料を見積もることで損失を定量化します。

これらのグループは、同様のリスク行動を共有し、広範な顧客データを収集して損失率を監視する AI アルゴリズムによってコンパイルされます。さらに、より多くのデータが蓄積されると、より再帰的なリスクパターンが出現し、より正確な評価が可能になるため、これまで以上にスムーズかつ最適な保険料支払いが行われていきます。

保険は、膨大な顧客の情報を扱うので AI との相性はよさそうですね。具体的に日本の保険とどのように違うのか、また、日本でもこの保険は顧客に受け入れられそうでしょうか?

アジアの他の地域、またはイスラエルでさえ、保険会社は、顧客エンゲージメント、請求、流通、および運用のために、さまざまなソリューションを活用しています。

しかし、日本では、保険会社は顧客エンゲージメントの改善を未だ優先順位の上位に置いているため、開発されるアプリの主な機能が依然としてトランザクションサービスであり、顧客によって発生するリスクや行動パターンなどをよりよく理解するためのデータが不足しています。この傾向は、徐々に変わっていくとは思います。

保険会社が直面する主なハードルとしては、データを共有することについて個人の同意を得ることやその見返りに得られるユーザーの価値の実現ですが、旧態依然の日本の保険会社にとっては、まず顧客とのギャップを埋めるための新しい革新的な方法を積極的に採用していく必要があります。

イスラエルの保険業界や、それらを取り巻く状況はどのようなものなのでしょうか?

イスラエルの保険業界ではまだそこまで革新的なサービスは広がっていないように思います。たとえば、米国の主要な生命保険会社は、イスラエルのスタートアップ企業と戦略的パートナーシップを確立しているなどの動きはあります。一方で保険会社とは別になりますが、保険と相性の良い金融業界ではその動きは活発です。

世界最大の金融サービス会社(Visa、Mastercard、citi、Barclays、JP Morganを含む)のいくつかは、イスラエルに事務所を開設し、イスラエルの FinTech スタートアップを買収し、開発したサービスを組み込みました。アクセラレータを複数の企業が開始もしています。

イスラエルの InsurTech セクターと FinTech セクターへの関心は高まっております。
イスラエルのInsurTechセクターの注目の高さは、

  • 1.高度なビッグデータ機能
  • 2.小さな市場規模
  • 3.早期採用への受容性
  • 4.サイバーセキュリティの専門知識
  • 5.強力なブロックチェーンコミュニティ

の5つの柱によって支えられており、今後より一層の発展が期待できそうです。

本日はありがとうございました。

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※イスラエルでは、こうしたスタートアップが 6000 社以上存在するといわれております。
弊社では、こうした企業の調査、目利きを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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