断片的情報を積み上げて変化を察知する
- 2021年01月14日
- SaratUpHimitsuExe
●断片的情報を積み上げて変化を察知する
ここまでの事例は、変化を経てきたからわかることで、変化の真っただ中にいる時は、時間軸や独自の視点を持って定点観測をしていないと「深い」分析は難しいでしょう。イスラエルに限ったことではなく、現地に、3-4 年駐在しているような人では、そもそもこういう切り口で情報を捉えない。捉える必要がないため、そういう観点で捉えようともしません。そういうことに気づくこともありません。
変化を読み解く指標は業界の数だけあります。日々起こる雑多な情報を1つの問題意識で捉えられるかの視点を持ち合わせることが、変化を掴んでいく入り口となると見ています。
変化を読む入り口は、1-6.で示した通り、「技術の変遷」「初めて登場するスタートアップの情報入手」「定点観測」などがあります。読みにくい技術トレンドは、「ただの」情報収集では、間違いなくゴミ情報として扱われます。そうしたこともあり、「価値ある情報」として報告を受けることはまずないです。ニュースになったとしても、自分たちが価値あるものとして、気に留めることは難しいでしょう。
一瞬ただのニュースにしか見えない「断片的情報」は、「独自戦略」に基づいた独自の問題意識をもって情報収集をする中で、初めて引っかかってくるような情報です。「定点観測」+「分析」が必要となってきます。断片的情報の多くは、ゴミになるかもしれません。ただ、独自戦略に重要とされるテーマの収集という視点で捉えると、位置づけが変わってきます。「断片的情報」自体は「点」であり、1つの事実です。
「点」では価値を生みにくいですが、独自の問題意識で見る場合、時系列で「蓄積」され、情報として「熟成」され、分析が入ることで、流れを察知できるようになります。「断片的情報」は、全く問題意識がない人が集めると単純作業でしかありません。手間がかかり、必要以上に時間がかかる作業でもあります。そうした独自の問題意識で断片的知識を捉え、変化をどう察知するかは、企業の数だけ「策」があるでしょう。「定点観測しないと見えないもの」「定点観測と分析」と両方必要なものを整理しておくことをお勧めします。
イスラエルでは、年間 800 ~ 1000 社、毎月 60 – 80 社程度新しいスタートアップが生まれます。技術に強い会社、新規事業構築を技術ベースにしてきた会社であれば、1 つ 1 つの会社の目利きはそれほど難しくないかもしれません。ただ、定点観測していないと捉えられない業界の変化、流れ、傾向といったものは、瞬間風速ではほぼ掴めません。切り分けておくことが肝要でしょう。
先のブロックチェーンやモバイルアプリの事例が示す通り、ブームが去ったときこそ、テクノロジーの本質を見ているかが問われます。第一歩としては、独自戦略に基づいた「断片的情報」の蓄積を行うことでしょう。「ただの」情報収集は、無駄とは言いませんが、必要な時にもう一度調べなおすパターンが多く、参考情報にしかなりませんので、お勧めしません。