注目のイスラエル企業②
- 2010年04月10日
- Interview
加藤:拡張現実技術で Innovid という会社があります。
動画のプラットフォームの中で、オーバーレイ表示して、広告を入れたり、ショッピングができたり、リンク情報を入れることができる。
春田:そういったアイデアは昔からあって、ドラマがやっている時など、「あのインテリアどこの製品?」と思って、画面を押すと、「○×製」と出ていて、ボタンを押すとショッピングサイトへ行き購入できる。
加藤:技術は新しくなっていますけど、発想自体は昔とあまり変わらない。
春田:そういうところですと、人工知能は、日の目を見てないですし、今でも難しい。ただ、音声認識もこれまでそうだったんですけど、ここ1 年で GoogleVoice™ にはじまり、音声入力に基づく認識、インプットって結構増えてきていますよね。iPhone™ とか、Android™ 端末とかそうですよね。昔からやっていて発想は変わらないですけど、実用的になれば、キーボードをなくす大きなパラダイムシフトにもなる。
加藤:音声入力のスタートアップの会社は、音声でウェブの操作が可能なブラウザーを提供する InPhoDrive 社 。それと、自動車などの走行中、前後左右の対象までの距離を測定し表示してくれる車載搭載用カメラを開発している MobiliEye 社という会社も注目しています。
春田:ITS とかで、衝突検知、回避とかはできるでしょうし、インテリジェントなコミュニケーションが、車間、路車間でできるようになるのは、可能になってきていますからね。技術の積み重ねで、ライフスタイルが変わっていきますよね。
ところで、イスラエルで、「これが出てきたら世界が変わる」 イノベーティブな技術とか出てきます? 僕が知っている限りですと、今の所ないですが…。
加藤:「世界が変わる…。」というレベルになると、ないですね。パッとは出て来ないですね。(笑)
イスラエルの場合、一つのある分野に特化して、ある領域の効率を、ものすごく改善するとか、そういう技術が多いですよね。 例えば、そういうスタートアップがあったとしても、Intel 社、CiscoSystems 社、Oracle 社とか、キャピタル部門を持っている所が既に物色していて、独自の開発とかをやっていると思うんですよね。
春田:Cisco Systems 社 は、バンバン買収していますからね。(笑)
加藤:そうですね。
Cisco Systems 社日本法人を作った松本様から直接お聞きしたことですけど、日本社長時代に、米国に各国の社長を集めてミーティングをした際、
当時会長のジョンチェンバースが、
「将来の CiscoSystems社 の競合はどこだ?」
と質問をした時に、当時各国の President はカナダにあった Nortel 社をほとんどの社長が回答したようですが、ジョンチェンバースは、
「そうじゃない、今あまり有名でないスタートアップが脅威になる。それに対しての戦略はない。だから、私たちはそういう会社を全部買収するんだ…。」
というエピソードがありまして…。(笑)
春田:脅威だと思ったら買う。小さい時期に取り込んでしまう。(笑)
加藤: 50 億円ぐらいのキャッシュがあれば、スタートアップでしたら、世間で騒がれる前に、ポンっと大抵買えてしまいますからね。
日本は、先端技術の開発領域のフィールドで、確かに、個々の会社で光る技術を持っている会社はたくさんありますけど、こういう話を聞くと、ものすごく外側にいる気がして…。
春田:VC 的な投資をする、会社が日本には少ないですからね。