イスラエル人のすごさと日本人の違い
- 2010年06月15日
- Interview
加藤:江副様の場合は、働かれていた会社が、偶然、イスラエルの会社でして、現地へも何度か行かれたと思うのですが、イスラエルの会社の特徴は何かありますか?日本人と違うところとか。
江副:うーんとですね。
日本人は、ストイックにある一点に集中して、突っ走る傾向があります。イスラエル人は、幅広い見方をして、「そっちへ突っ走っていかなくても、こっちを掘っていけばたどり着くよね」というように、脇道を見つけるのがうまい。
何が違うかというと、頭がいい。要領がいい。(笑)
一つは、教育制度の差かと。
日本の場合は、学校で「答えはこれです。」とその答えにたどり着く教え方をしますよね。イスラエルの場合は、答えがにある中の回答を、出させられるような教育をずっとされる様です。
だから、傾向として問題解決の判断が、日本とは違ったスマートな解決方法を見出してくれることが、非常に多い。だから、自分達だけでウニウニ悩まないで、「こういう問題があるのだけど…何かいい方法ない?」と聞くと、「あれっ」っていう方法で戻ってくる。
加藤:たとえば、日本のお客さんから無茶難題がきて、日本では、手に負えないと思っている問題でも、イスラエル現地に聞いてみると、日本側が全く想定していない回答が返ってくるとか…ですか。
江副:そうですね、その問題とは違う提案をしてきても、結果的に、そのお客さんのニーズを満たしてくれることが、結構多かったですね。
多分、私が日本の会社だけでメンバーを集めて、解決しようとしても、「言われたことをどうするか?」という解決しか考えなかったでしょう。たいてい、どの会社もイスラエルの会社はそこがうまい。
日本側が、「あー、そういう回答があるのか。」と思う事がスパッと出てきます。「あれあれ」って思っている間に、お客さんも納得してくれる。
加藤:3年ほど前にお会いした時にも、江副様が、『ある理論があって、その理論を「どう技術へ落とせるのか」「どう製品かさせるのか」』という点がうまい。日本の場合はその製品をどう売るかという視点からスタートで、イスラエルの彼らの方が考えられる幅が広いというか…、柔軟。
江副:そうでしょうね。
それと、圧倒的に基礎的な知識も多い。
とにかく、よく勉強している。無線LAN一つでも、日本だと、無線LANが使えて、ある程度サイトサーベイができると、プロフェッショナルになった気がしてしまいます。
ただ、イスラエルだと、無線LANの低レイヤーの位置まで、基礎的に学んでいます。だから、問題が起こった時に「電波って見えないよね。困ったね。」ではなくて、解決方法を持ってきちゃう。基礎的な幅広い知識を、ほとんどの人がしっかり習っている。
たとえば、「オライリーの無線LANの本を、読んでいるのか?」と言われたら、そこまで読んでいる人はあまりいない。ただ、その本に書いてあることは、完全に把握している事が基本。そこがスタートライン。
当時、イスラエル現地の技術者を連れてきて、日本の大きい会社で、その会社である分野で一番詳しい人と打ち合わせをすると、最初は、日本の会社の人が、「私の方が詳しいよ」という感じで話します。ところが、2~3 時間もするとひっくり返っています。(笑)
そのイスラエルのエンジニアが、TOPのエンジニアかといったら、当然違って、ただ、日本へ送り込まれてきただけのサポートエンジニアだったりしますからね。そういう点では、すそ野がすごく広い…。
加藤:イスラエルは、1000といいますけど、数だけではなく、知識も幅広いエンジニアが多い。
江副:そうですね、間違いないですね。
同じ博士号(ドクター)を持っている人同士でも、イスラエルと日本を比べると、日本の人に言うと怒られるかもしれませんけど、レベルがやはり違う。イスラエルの博士号は、日本のそれなりのレベルに行ってしまう人が、普通。日本の博士号をもった人が、イスラエルへ行くと、ショックを受けるというか…。正直、「日本ってこれで大丈夫かな」 と心配になることが多い。
そういう自分も、学生時代、勉強しませんでした。私自身は、物理の修士号(マスター)ですけど、イスラエルの物理のマスターというと、ホントに詳しい。ちょっと太刀打ちできない。袋叩きに合って帰ってくる感じです。(先生ごめんなさい)